凍蟲火葬




Novelに戻る   >>Next





第一話 寄生


※本作品の表現は一部の方は拒否反応を示す可能性があります。お気をつけ下さい。



マユ「ねーねー、知ってる?」

クミ「ん?なーに?」

マユ「そこの角のコンビニの向かいに新しくケーキ屋ができたんだってー♪」

クミ「そうなの!?いきたーいっ。」

マユ「そこのミルフィーユとシュークリームが人気らしくっていつも品切れなんだよね〜。」

クミ「じゃあ今日見てみようよ、どんな店か見てみたいし。」

マユ「おっけー♪もし売り切れてたら焼きプリン買おっと。」

クミ「んー、そしたらチーズケーキかベリー系の何かにしよっかな?」

マユ「まっ、とにかくごーっ♪」


私は白川 久美(しらかわ くみ)、市内の高校に通うごく一般的の高校生。

一緒にケーキ屋に向かってはしゃいでるのは親友の須藤 真弓(すどう まゆみ)。

友達はいつも私達の事をクミ・マユって呼んでる。

言い易さと覚え易さから決まるあだ名なんてそんなものなのだろうけど。

今日も部活帰りの放課後を二人で楽しんでいた。

同じテニス部所属だから帰る時間はいつも同じ。

その上クラスも同じなのだから仲良くなるまでそう時間はかからなかった。


マユ「うわぁ・・・夕方なのに混んでるなぁ。」

クミ「丁度ケーキが焼き上がる時間帯なんじゃない?ほら、あそこに焼き上がり時間の張り紙あるし。」

マユ「ホントだ、これじゃあもう売り切れてるよね〜・・・。」

クミ「せっかく来たんだし何か買っていこうよ?私並んでくるからさ。」

マユ「そうだねっ。じゃ、あたしは焼きプリンで宜しくっ!」

クミ「了解〜、じゃあ外で待ってて〜。」

マユ「うん、後でお金渡すからぁ。」


店内はレジを待つお客でごった返しており、マユと二人で並ぶスペースもなかった。

それにしても焼き上がったばかりだからだろうか、店内はケーキの甘い匂いが立ち込めていた。

前に居るお客の数は10人ほど、狭い店内では相当な人数である。

仕方なくマユは店のやや裏側に回ってショウウィンドウ越しに色々ケーキを物色していた。

ここは通行人にも見え易いようにガラス越しにどんなケーキがあるのか一目瞭然の状態で配置されている。


マユ「あー、やっぱりチョコレートムースも捨てがたかったな〜。」


陳列されたケーキを見ながら次回来た時に食べるケーキを選んでいた。

帰宅途中に通る帰宅路なので寄る機会も多いしまた来ると考えたのだろう。

と、ケーキを見ていると突然視界の端にふわりと舞うオレンジ色の物体が映った。

何かと振り向くと、視線の先で優雅に一匹の大きな橙色の羽の蝶が舞っていた。


マユ「・・・蝶?この時季に?」


季節は秋も終わりそろそろ冬支度を迎える頃。

それなのに蝶が舞っているのだ。


マユ「でも綺麗な蝶だな〜。」


不思議と思いつつもケーキの事も忘れてその蝶が舞うのを魅入ってしまった。

暫く見ていると急に蝶の動きがおかしくなった。

周囲をぐるぐる回っていたかと思うと突然蝶の動きが停止する。

その瞬間、蝶がはらりと空中分解したのだ。


マユ「ぇ・・・え・・・!?」


4つの羽と胴体と、まさに華々しく散るかのごとくひらりひらりと地面に舞い落ちた。


マユ「ちょっ、どういう事!?」


近づいて蝶の残骸をまじまじと確認する。

当たり前だがピクリとも動かない。

蝶や蝉(セミ)が鳥に襲われて羽が落ちる様子くらいなら見かけた事はあるが、突然空中分解するなど聞いた事も無い。

そして残骸を見ているうちにある事に気がつく。


マユ「あれ、胴体は?」


羽の下にも周辺にも本体である胴体の姿が見当たらなかった。

周囲をキョロキョロと見回すがそれらしき物体が見当たらない。

モゾ・・・

不意に鞄を背負ってない方の肩に違和感を覚える。

ハッと振り向くと『あの』胴体が肩にとまっていた。

いつの間にか肩まで登ってきていたのだ。


マユ「や・・ちょ・・・っ!」


マユが悲鳴をあげて振り払おうとした瞬間、それを待っていたかのように胴体はジャンプした。

胴体が飛んだ先には―――まさに悲鳴が上がろうとしているマユの口の中。

突然の口への異物の侵入にたじろぐマユ。


マユ「ぅう!?」


予想外の出来事に吐き出す事も忘れ固まってしまった。

その一瞬の隙を見逃さず、胴体はスルリと喉の奥へと滑り落ちていった。


マユ「んっ・・・ぐっ・・・。」


食道を大きな異物が通過していくのが感じ取れる。

しかし、すぐに喉の異物感はなくなっていった。

それは同時に胃への到達を意味していた。


クミ「ただいまー♪はい、焼きプリ・・・マユ?どうしたの?」


不自然に道端で蹲っているマユを心配そうに覗き込む。

近づこうとしたものの、異様な雰囲気に足を止める。

蹲っている先に落ちているバラバラになった蝶の残骸を見てしまったからだ。


クミ「何コレ?何があったの?マユ、大丈夫っ!?」


マユは自分の腕で肩を抱くようにガクガクと一人無言で震えていた。

状況も飲み込めぬままマユの背中をさすってやる。

すると、肩で息をしながら急にマユが立ち上がった。


マユ「ぅ・・・うぅ・・・。」


よたよたと壁際までふらつきながら歩いていくと壁に手をついた。


マユ「・・・ぅうぇぇぇええええっ・・・!」


うめきながらボトボトっと口から何かを吐き出した。


クミ「っ!・・・マユ、気持ち悪かったの・・・?」


駆け寄ろうとしたクミを制止するかのようにマユは手を翳した。


マユ「見な・・・いで・・・!」


ふと、悪いと思いつつも嘔吐物に視線を移すと巨大な芋虫が数匹、地面でのた打ち回っていた。


>>Next

Novelに戻る
本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース