王の国




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第一話 未踏の国


ここは―――どこだろう?


周囲は洞窟のように薄暗く、自分の居る場所からは縦横無尽にいくつもの道が広がっている。


何故―――ここにいるのだろう?


道には何やら重そうな荷物を運んでいる人々が行き交っている。

こんな風景など見た事もない。

何処の国?何処の世界?

服装も何処かの民族衣装なのか、どの国でも見かけない服装な人々ばかり。

ぼーっと立ち尽くしていると荷物を運んでいた一人がこちらへと駆け寄ってきた。


少女「あの・・・仕事をしないと怒られますよ?」


キョロキョロと辺りを見回して戸惑っている自分の姿が目立ってしまったのだろう。

わざわざ忠告をしてきてくれたらしい。

返事をしようと彼女の方へ顔を向けた瞬間、少女の顔色が変わった。


少女「あっ!あなたは・・・このような偏狭の地までようこそお越し下さいました。」


彼女の突然の態度の変わり方に驚きつつも、自分はこの世界に来るのは初めてだと告げた。

そしてあなたは何か人違いでもしているのではないか、と。


少女「いいえ、人違いでは御座いません。この地を訪れた事を心から感謝致します。」


少々腑に落ちない気もするが、受け入れてくれるのならこちらも受け入れられようじゃないか。


少女「申し遅れました、私は運搬科K路担当のヘロと申します。」


運搬科?K路?どうやらこの地は組織で動いているようだ。


ヘロ「この世界は初めてでしたね?私が御案内致します。逸れぬようお気をつけ下さい。」


そういってヘロは見晴らしのいい小さな塔のような場所に案内してくれた。

この世界が初めてなのにこの待遇?どういうことなのだろうか・・・。


ヘロ「ここから各種経路がよく見えるはずです。なかなかいい景色でしょう?」


なるほど、確かに先程の行列が遠くまで見渡せる。

人数は何千、いや何万だろうか。

これだけの人数がずっと列を成して一糸乱れず荷物を運んでいる。

さすがにこの人数を統率するなんて相当な力量の指揮官でも居なければ不可能だろう。

そしてやっぱり気になってくるのは運んでいる荷物の中身。

それとなくヘロに尋ねてみることにした。


ヘロ「あぁ、これはこの国を維持する為の必要物資です。」


必要物資がこんなにたくさんだって!?


ヘロ「もし、これが一日・・・いえ、一時間でも滞ってしまうとすぐに国は崩壊してしまいます。」


そんなに大事なモノなんだ・・・何となく皆が必死に運んでいる理由が解ってきた。

ん?何か軽い地響きと轟音が?


ヘロ「いけない!壁が決壊し始めてる!」


ヘロがそう叫んだ刹那、眼下の行列の地面が突如崩壊した!

為す術もなくぽっかりと空いた穴に落ちてゆく運搬科の人々。

大変だ・・・早く助けないと!?

しかし、ヘロはその場から動かずその様子を眺めているだけだった。


ヘロ「御心配なく。この程度の穴はすぐに修復科の者によって塞がれます。ほら、やって来ました。」


何処からともなくガタイのいい人が現れ、すぐに修復作業を始めると穴はあっという間に塞がっていった。

凄い国だな・・・ここは。

って、さっき落ちた人たちは大丈夫なのかな!?


ヘロ「彼らは・・・仕方ないのです。この仕事に犠牲は付き物ですから・・・。」


なんて事だ・・・まるでこの国は蟻でも見ているようだ。

少しの犠牲は省みず全ては国の為に、か・・・。


ヘロ「そうだ、今度はS路の運搬の御様子もお見せ致します。こちらへどうぞ。」


S路?まさかとは思ったがたくさんの道があるようだ。

案内されるがまま、行列の脇をすいすい進んでゆく。

皆が一生懸命仕事をしている中、呑気に観光とはちょっと気が引けてしまう。

と、そこへ何やら叫び声が耳に飛び込んできた。


「敵襲だーっ!!」


敵!?そうか、こんな大規模な国だもんな。

敵国の一つや二つ、あってもおかしくはない。


ヘロ「ここは危険です!一先ず脇の建物へ隠れましょう!」


真横の建物に身を潜めると窓の外には黒い甲冑を着た騎士が暴れ回っている。

何て奴らだ・・・何の躊躇も無く荷物を運ぶ住民を切り裂いてる。


ヘロ「間もなく援軍が来ます、それまでの辛抱ですから・・・!」


辛抱といわれても・・・見てられない、こんな一方的な虐殺っ・・・!


ヘロ「来ました、ホワイトナイツですっ!」


ヘロの指差した方向に白銀の鎧を身に纏った騎士団が颯爽と現れた。

ホワイトナイツと呼ばれた騎士達が次々と気持ちが良いくらい素早く黒騎士をなぎ払ってゆく。

しかし、襲撃から僅か一分足らず・・・こんなにも早く到着できるなんて。


ヘロ「ホワイトナイツは各所に点在しています。彼らもまた私達と同じようにK路・S路と役割は同じだけど所属が違うだけです。」


なるほど、という事はこのホワイトナイツは彼女と同じK路担当というわけか。


ヘロ「今回はホワイトナイツの方々だけで鎮圧できましたが、これ以上の規模の敵だと巨人部隊MFが担当いたします。」


きょ、巨人部隊?一体どれだけの規模の軍隊なんだ・・・。

そもそも巨人なんてものがこの世界には居るのか、恐ろしいところだ。


ヘロ「けれども巨人の彼らですら敵わない敵が出てくるのです。」


・・・さっきの戦いですら小規模って事なのか・・・?


ヘロ「その場合は巨人部隊MFから、直接救助T部隊に敵戦力の報告がなされます。」


救助T部隊・・・何だかわけがわからなくなってきたぞ。


ヘロ「救助T部隊ではそれらの戦力を分析し、他の部隊に討伐依頼を入れると共にその分析結果ファイルも受け渡すのです。」


ここまで来ると戦争レベルじゃないのか?

それにしても一体この国には何部隊あるのだろうか。


ヘロ「主に依頼を受けるのは特殊暗殺集団と重火器武装B集団ですね。」


・・・これは本格的に敵を潰す為のような集団だな。普段は表に出ないのも頷ける。

しかし覚えづらい。BだのTだの意味でもあるのだろうか。


ヘロ「鎮圧したみたいですね。ではS路に御案内致します。」


言われるがままにS路へと案内される。

それにしても彼女の平常心の保ち方は尋常じゃないな・・・毎日こんな事があれば慣れてしまうのだろうか。


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