地獄の小さな想い人




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第一話 鈴奈とレイナ




「・・・йфЖгЫЁ、бЯбЖюЪ!?」


ここは・・・何処?

何であたしはこんな薄暗いひろーい部屋に居るの?

それに低く響くこの声は何?

誰だか知らないけど目の前の黒マントの男が頭を抱えてうちの事を睨んでる。

ってぇええっ!? コイツ本当に人間なのっ!?

見た感じ身長10m以上あるんですけどっ。


「лзз!чЁкл、фщиБЙълсП!」


んーと、何語です・・・?

何いってるか解らないけど、もしかして・・・この人ちょっと怒ってる?

ってうちの周囲の床にでっかい模様が描かれた!?

もーわけわかんないよ!?

模様が少しずつ光っていくんだけど、これってもしかして魔法陣っていうものなn―――。





そう思った瞬間、頭を何かに貫かれた感覚が走り、視界が暗転した。





・・・ん。

あれ?さっき・・・あたしはー・・・?

いったぁ・・・まだ頭がズキズキする。

さっき変な魔法陣が浮き出た場所で倒れたままだったのかな?

あたしの名前は桜井 鈴奈(さくらい れいな)、高校二年の16歳。

明日は剣道の県大会だから早起きして体育館で練習しようと思ったのに。

気がついたら謎の巨人が居た薄暗い部屋に居るし・・・。

この部屋は巨人のサイズなのか、大会開催場所の体育館よりも全然大きい気がする。


?「ん?目覚めたか?」

鈴奈「わぁっ!」


低く大きな声に振り返ると、最初に見た黒マントの男が背後でじっとあたしの事を睨んでいた。

や、やっぱり大きい・・・!

10m以上だと思ったけど20m近くあるんじゃ!?


鈴奈「えとっ、んと・・・どちら様?」

?「うむ、しっかり喋れるようになったな。あの干物め、不完全な魔法書ばかり寄越しやがって。」


そういえば・・・最初は何言ってるか解らなかったけど、今は喋れるし聞こえる・・・何で???


?「あーん?喋れんだったら人様に名前尋ねる前に自己紹介くらいしたらどーだ?」

鈴奈「わわ、わっごめんなさいごめんなさいっ!あたしは桜井 鈴奈ですっ!!」


なになにっ!?何なのこの高圧的な態度ぉ!?


?「サクライ=レイナ、か・・・悪くない名だな。」

レイナ「そ、それはどうも・・・。」


レイナ・・・どう考えても漢字で覚えられてる雰囲気じゃないよね?


?「俺はチェイス=オセル。二度と言わないから覚えとけよ。」

レイナ「はぁ、チェイスさん・・・覚え・・・ます。」


チェイスと名乗った大男はどかっと椅子に腰を降ろすと古びた本を読み始めた。


レイナ「あのっ、そのー・・・質問っ!」

チェイス「あぁ!?」


うわぁー!ものっすごい嫌そうに睨んでるんですけどっ!


レイナ「何であたしはここに居るんです・・・?」

チェイス「・・・俺が喚んだ。」

レイナ「よんだ??? 何の為に?」

チェイス「別にお前を喚びたかったわけじゃねー。」

レイナ「へ?」

チェイス「召喚魔法を間違った。」


えええええええーっ!?


レイナ「ちょ、何さらっと凄い事言っちゃってるんですー!?」

チェイス「ギャーギャー喚くなぁ!間違ったもんは仕方ねーだろうがっ!」

レイナ「間違ったって・・・あたし帰れるの!?」

チェイス「何処から喚んだかもわからんものを帰せると思うか?」

レイナ「がーん・・・。」


終わった・・・あたしの県大会も人生も未来もみーんな終わった・・・。


チェイス「んなシケた面すんな。だから翻訳魔法をてめーにかけたんだ。」

レイナ「翻訳って・・・あの頭にビビッときたよくわかんないの?」

チェイス「おう。頭に激痛が走るから俺じゃなくてめーにかけたけどな。」


ど、どこまで腐ってんだこの外道は〜!


レイナ「その、あたしはこれからどーしろと?」

チェイス「あぁ、小人なんて珍しいから俺が飼う事にした。」

レイナ「はぁっ!?」

チェイス「別にてめーなんて飼わずともシェイクやゼロールの餌にしちまってもいいんだぜ?」

レイナ「シェイク・・・ゼロール???」

チェイス「ほれ、てめーの後ろの吸血薔薇と吸血蝙蝠だ。」

レイナ「きゅ、吸血!?」


慌てて振り返ると、レイナと同じ大きさの薔薇の鉢植えと蝙蝠が物欲しげに睨んでいた。


ゼロール「フン、チェイス様が飼って下さるというのに何その態度は?」

レイナ「薔薇が・・・喋った・・・。」

ゼロール「失礼ね、喋っちゃ悪いの!?」

レイナ「え!?あ・・・別にっ、その・・・。」

シェイク「後輩いじめなんてみっともないよ、ゼロール。」

ゼロール「あら、シェイク。何を仰るのよ?私とこんな下等なペットと比べないで欲しいわね!」

チェイス「あぁん!?てめーもペットみてーなもんだろうが。一人で餌獲れるようになってから言いやがれ。」

ゼロール「・・・はい。」

シェイク「ま、私達ペット同士仲良くしましょ。」

レイナ「あはは・・・宜しく、です。」


薔薇がしょげちゃった、凄い光景なんですけど・・・?

でもなーんとなく力関係はわかってきたぞっ!

彼女達なら何か色々情報を聞けるかも知れない。


レイナ「そういえばチェイスさんって何者なんです?」

シェイク「御主人?彼は吸血鬼よ、私達は毎日彼のおこぼれを貰ってる感じかな〜。」

レイナ「吸血鬼ーっ!?」

ゼロール「大丈夫よ、あんたなんて食べる所少ないから見逃して貰ったようなものですからねっ。」


そっか、もしチェイスと同じ大きさだったら・・・食べられてた!?


シェイク「それにしても小人なんて初めてみたー♪」

レイナ「こ、小人?あたしが!?」

ゼロール「あんた以外誰が居るっていうのよ?」


この世界の人間の基準はチェイスが標準サイズっていう事?

だよねぇ、薔薇や蝙蝠と同じ大きさって事だし。

初めてって事はあたしの存在はとっても珍しいって事なのかな?


レイナ「えっとぉ・・・ここって何処なんです?」

シェイク「ここはルフェの街だけど?」

レイナ「んー、街の名前を言われてもぴんと来ないかなぁ。」

シェイク「あぁ、そうだったね。レイナが住んでた世界がどんな世界かは知らないけど、ここは不死者や悪魔が住まう世界だよ。」

レイナ「え・・・もしかして・・・地獄!?」

ゼロール「地獄ゥ?失礼ね、私達にとっては天国のような世界よ?」

シェイク「はははっ!無理もないよ、吸われる立場からすりゃ確かに地獄だわ。」


悪魔?不死者?

なんだか頭痛がしてきたよ・・・。

あたし・・・ここで生きていけるの・・・?


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