Ghost Back Stage




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第一話 御臨終


亜紀「うんうん。たしかCD発売されるのって今日だったよねー?」


亜紀お得意のいつもの長電話。

親友とこれが始まると大抵は2時間は終わらない。

が、今日は思わぬ邪魔が入ってしまった。


亜紀「あははっ。そーだよねー。・・・ってもしもし?もしもーし!?」


突然親友との通話が途切れてしまう。

何事かと携帯画面を見ると真っ暗で反応がない。

電源が切れていた。


亜紀「あちゃー・・・やっぱり充電持たなかったか。」


残り少なかった電力では亜紀の長電話に耐える事ができなかったらしい。

渋々ベッドから起き上がると充電器に携帯を接続する。

初めからこの状態で通話していれば良かったのだが、電源ケーブルの長さの都合上ベッドで寝たまま会話ができない。

ごろんと横になりながらの長電話が亜紀の何よりの楽しみだったからだ。


亜紀「あーあ、せっかくいいところだったのになぁ。」


もう一度親友にかけなおそうかと思ったがすでに時計は午前0時を回っていた。

明日の事を考えて親友には『ごめん!充電切れちゃった』のメールだけは送る事にした。


亜紀「さってと!いい加減寝ないと明日起きられなくなっちゃう。」


そう言ってベッドに乗った瞬間、ベッド横の窓から物音がした。


コンコン・・・


小さく窓を叩く音のようにも聞こえる。

けれどここは二階で窓の外には大きな椿の木が生えている。

きっとその枝が風になびいて窓に当たったのだろう、そう結論付けた。

そして部屋の電気を消して布団を被った。


コンコンコン・・・


まだ音が止まない。

外からは風の音もしないし木々のざわめく音も聞こえてこない。

じゃあこの音は?

少しだけ背筋に悪寒が走る。


コンコンコンコン・・・!


先程よりも強い音で窓が叩かれている。

これは明らかに普通じゃない!

窓の外に何か居る?

けれどここは二階だし窓の外はベランダのような人間が足をかけられるような場所も無い。

言い知れぬ不安が亜紀を襲う。


亜紀「(もう・・・寝たいのに何なの!?)」


そしてふと冷静に考える。

窓にはカーテンがかかっていてこちらの様子は見えないし、窓には鍵がかかっている。

もし最悪窓を破って侵入しようものなら物音で家族が飛んでくるだろう。


亜紀「(そうだよね・・・別にこっちから窓の外を確認する必要もないんだし・・・)」


自分で自分を落ち着かせると不安そうに窓の方向を見つめた。


亜紀「(音・・・止んだみたい?)」


やはり木々の悪戯だったのだろうか。

ビクビクしていた自分が急に馬鹿馬鹿しくなってきた。

ほっと安心した瞬間、窓から突然青白い手がにゅうっとすり抜けて来た!


亜紀「ひぃっ!?」


手はカーテンをもすり抜けるともう片方の手、上半身、そして全身と部屋の中へ侵入してきた。

亜紀はあまりの事態に声も出せず目も逸らす事もできず、ただただ布団を握り締めて震えていた。

侵入してきたのは同年代の男・・・の人の形をした幽霊だろうか?

全身血塗れで恨めしそうにこちらを睨んでいる。


亜紀「(何であたしに!?何の用なの!?あたし何もしてない!)」


そんな事を考えつつも声にならない声を上げていた。

すると幽霊の男はゆっくりと亜紀に近づきこう呟いた。


幽霊「何デ出テキテクレナインダ・・・何デ変事ヲ・・・シテクレナインダ・・・!」


これにより亜紀の恐怖心はピークに達した。


亜紀「いやぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!!」




・・・・・


よくある幽霊怪談。

けれど何故霊が彼女を襲ったのか?

それらの経緯は?あまり怪談話では語られる事はない。

今回はそういった幽霊の『裏舞台』を覗いてみよう。

話は先程の幽霊との遭遇から5時間程前に遡る。


・・・・・



男「ちっくしょー!何で俺ばっか追試なんだよ!!」


叫びながら山道の中を自転車を走らせる彼の名は本堂 翔一、高校二年生だ。

来年受験を控えているというのに赤点ばかりで担任から毎日居残りの追試と授業を受けさせられていた。

そんなわけで日もとっぷり暮れて辺りは既に真っ暗である。


翔一「せっかく一昨日買ったばっかりのゲーム、Alive Survivalが全然進めねぇ・・・。」


こうも毎日遅くなっては部活やゲームどころではない。

本当はバイトもやりたいのだがその辺りはしっかり担任から親へと釘を刺されている。


翔一「ま、とにかくっ!早く帰って晩飯晩飯ィ!」


ペダルをギュッと踏むとギアを上げて更にスピードを上げる。

しかし、これが翔一の命運を分けた。

カーブを曲った瞬間、正面に大型トラックが迫っていたのだ。


翔一「や・・・べっ・・・!!」


刹那、翔一はハンドルを思いっきり切ってトラックを掠めるように間一髪で避けた。


翔一「へへ・・・危なかっ・・・た?」


安堵したのも束の間、正面にガードレールが迫っていた。

ここは山道、ガードレールの向こうは切り立った崖である。

しかし、急ハンドル直後の翔一には避ける事ができなかった。

前輪がガードレールに激突すると、その反動で翔一の身体は宙を舞い真っ暗な崖下に転落していった・・・。


翔一「うわあぁああああああぁぁぁぁ....」



・・・・・



翔一「痛ってぇぇ・・・あー、びっくりした。」


真っ暗な崖の下でむくりと起き上がると山道の方を見上げた。

上の道の街灯の灯りがかすかに見える。


翔一「やっべーな。どうやって上まであがろう?」


そのまま登るにしても70〜80度くらいの傾斜の崖な為に普通に登ることはできない。


翔一「とりあえずこのあたりで登る為の道具でも探すか・・・。」


そう言って振り向いて翔一はギョッとした。

すぐ後ろの足元に人が倒れていたのだ。


翔一「う、うわぁっ!?あ、あんた大丈夫か!?」


暗い中、急いで近づいて顔を覗き込んだ翔一は絶句した。

そこに倒れていたのは全身血塗れの翔一だった。


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